帰ってきたぞ 帰ってきたぞ 大坂なおみ~♫
おまえはウルトラマンか!




大坂なおみの「帰国会見」。的外れな質問のオンパレードにも閉口したが、そもそも大坂なおみは日本に「帰国した」わけではない。


例年この時期には、東レパンパシオープンが日本で開催される。当初からこの大会への出場は、年間スケジュールに組み込まれていた。この大会へ出るために大坂は日本へ立ち寄ったのだ。

全米オープンの結果如何に関わらず、織り込み済みの訪日である。たまたま勝ってしまったから、結果的に「凱旋した」ように見えるだけ。このことはハッキリさせておきたい。




また彼女には日本人の血が流れているが、ハイチ人の血も流れている。そして現在の拠点はアメリカである。敢えて言うなら「国際人」ということになろうか。

然るに「帰国会見」での日本メディアの振る舞いは、大坂なおみの「日本LOVE!」を誘導せんとするものであった。よって「帰国した」と表現せねば格好がつかない。「訪問者」では収まりが悪い。


これに関連して巷では、大坂の国籍問題が話題を呼んでいる。

現在は日本国籍の大坂なおみが、ハイチかアメリカに国籍変更するのでは?せっかくの金の卵を横取りされてなるものか!愛国心に陶酔する日本人(日本メディア)の恐れが透けて見えるようだ。


多くの(少なくとも一定数の)日本人が潜在的に恐れる大坂なおみの国籍変更。だがプロテニスの世界では珍しいことではない。今パッと思いつくだけでもこれだけいる。

マルチナ・ナブラチロワ(チェコスロバキア⇒アメリカ)
イワン・レンドル(チェコスロバキア⇒アメリカ)
モニカ・セレシュ(ユーゴスラビア⇒アメリカ)


モニカ・セレシュ 「私は負けない」
モニカ セレシュ
徳間書店
1997-07



いずれ劣らぬ大スター。テニス界のレジェンドである。

テニスはグローバルスポーツだ。どこそこの国技ではないからして、こうしたことは頻繁に起こり得るのだ。ここで挙げたプレーヤーも、ほんの一例に過ぎぬであろう。


記者会見で大坂は「東京五輪で金メダルを取りたい」と口にした(リップサービス?)。真に受けたメディアは条件反射で喰いついた。さながらパブロフの犬の如し。

国籍変更でもされようものなら、日本国のメダル総数が減るかもしれない。大坂が「よそ者」にでもなろうものなら、お飯の種を失うメディアとしては困り者だ。


間もなく平成も終わろうというのに、いつまでも田吾作根性で汲々としているようでは、「お・も・て・な・し」が聞いて呆れる。とんだお笑い草である。

どこの国の選手であろうが大坂なおみは大坂なおみだ。メディアの思惑に踊らされず、我々は変わらず声援を送り続けようではないか。

ふたつのオリンピック 東京1964/2020
ロバート・ホワイティング
KADOKAWA
2018-09-21